輝いているあの人に聞く目からウロコのストーリー

佐枝せつこの「ゲストルーム」

夢は叶う!「人生定年なし時代」を先取りしたエンジニア
第8回のゲスト
作家・鳴海風さん
  (4回連載/その4

長年、会社員をしながら小説を書き続けてこられた作家、鳴海風さん。2013年(鳴海さん曰く「正確には2014年3月末にグループ会社での再雇用延長を中止した。それで私は、2014年3月でデンソーを卒業と称している」)に定年退職をされてからは、執筆の他に講演やセミナー講師の依頼が殺到し、退職前より忙しい毎日を過ごしておられるようだ。

 

好きなことを仕事にできるのは誰もが羨む生き方だが、会社でのハードワークをこなしながら、小説を書き続けた鳴海風さんは日常生活で様々な工夫をしたという。「人生定年なし時代」を先取りする作家、鳴海風さんの魅力を4回に渡ってお伝えします。

その4
――今までの人生で影響を受けた人、この人に出会ってよかったと思える方が いらしたら教えてください。

 私の人生訓は「人生は人との出会い」ですから、とても多いです。子どものころから順番に紹介していたら、膨大な量になってしまうでしょう。
 たとえば、小学校4年の時の担任の先生との出会いは、私の自我を目覚めさせてくれました。
 中学校の時に好きになった女の子とは、もう40年以上会ったことがありません。彼女との恋愛が実りはおろか発展もしなかったことは、私のロマンチストとしての気持ちを現在でも色褪せることなく残してくれています。

 会社の先輩たちは、小説家でもある私を認めつつ、会社の仕事に思い切り取り組ませてくれました。結果、私の会社人生は、正々堂々と胸を張って誇れるものになりました。
 しかし、何と言っても家内との出会いは、その後の私の人生を決定した最大の貢献者であることは間違いありません。

――人生の指針となる言葉があれば教えてください。

 高校のときに校長先生がよく話され、同窓生の多くが影響を受けた言葉があります。今でも、私は講演で若い人に語っていますが、「汝(なんじ)、何のためにそこに在(あ)り哉(や)」です。この言葉で、高校生だった私は自分の存在意義がないことを知り、それを早く見つけなければ、と悩みました。わたしにとって高校時代は、挫折の時代でした。

 もう一つ。社会に出てから徐々に形成された私の生き方を端的に表現している言葉です。『易経』にあるのですが「自彊不息(じきょうふそく)」です。


易曰,天行健。君子以自彊不息。読み下し文は、「易に曰く,天行健なり。君子はもって自ら彊(つと)めて息(や)まず」。意味は「天地の運行がすこやかであるように、君子も自ら努め励み、怠ることはない」ということです。

――充実した人生を送られていますが、今後やってみたいこと、将来の夢があったらお聞かせください。

 これまでの人生で夢中になった小説や技術や会社の世界を、学問分野で表現すると、人文科学、自然科学、社会科学ということになります。おそらく一生をかけても究めることはできないでしょうが、せっかく夢中になった分野ですから、すべてを本の形で残していきたいというのが、私のこれからの目標です。

――最後の質問は音楽に関わることですが、今までの人生の中で一番心に残る思い出の曲があれば教えてください。

 加山雄三の「海 その愛」です。

 大学院への進学を目指して受験勉強している時、私の視線は、合格の先に小説家への道がつながっていることを確かにとらえていました。
 その私を励ましてくれた曲が、加山雄三の「海 その愛」で、勉強部屋に据え付けた当時流行していたコンポステレオで何度も聴いていました。
 実際には、それから小説家への道のりはとんでもなく長いものでしたが、つながっていたことは間違いありません。

鳴海さん、ありがとうございました。

鳴海風さんにゲストルームへの登場をお願いしたところ、超多忙にも関わらず快く引き受けてくださった。たくさんの質問にもひとつ一つに真摯に向き合い丁寧に答えてくださった。その答えから鳴海さんの人となりがよくわかる。

とことん努力の人である。夢に向かって努力をしてきた日々の積み重ねが今の鳴海さんの居場所を作っているのだが、鳴海さんはまだまだ夢を追い続けている。鳴海風の人生とは夢を叶えるため一生挑戦であり、挑戦し続けている限り夢は必ず叶うものだからである。

鳴海風プロフィール
1953年 新潟県生まれ。愛知県美浜町在住
1980年 東北大学大学院機械工学専攻修了。

1980年 日本電装(現株式会社デンソー)入社。
1992年 「円周率を計算した男」で歴史文学賞を受賞
2006年 日本数学会出版賞受賞
2010年 愛知工業大学大学院で博士(経営情報科学)取得
2013年 名古屋商科大学大学院でMBA取得。デンソーを定年退社

著書  
「円周率を計算した男」新人物文庫 
「和算小説の楽しみ」岩波書店
「江戸の天才数学者」新潮選書
「星に惹かれた男たち」日本評論社 他多数

<Sairuma!(さいるま)とは>
日々の生活を彩る+末永くお届けできるようにとの願いと覚悟を込めて「彩る+ル・マン/24時間耐久レース」から「Sairuma!」と命名しました。