輝いているあの人に聞く目からウロコのストーリー

佐枝せつこの「ゲストルーム」
 

第2回のゲスト 女性弁護士 堀西良美さん

 

名古屋を拠点に活躍している弁護士・堀西良美さんと初めて会ったのは、5年前、ある勉強会の会場だった。事前に「女性弁護士」だと聞いていた私はドラマに登場するような険しい顔の女性を想像し、すっかり構えていたが、上から目線でもなく、気さくに話す堀西さんの親しみ易い人柄にすっかり拍子抜け。出会った日から会話は弾み、時々会っては楽しい時間を過ごすようになった。

 

そんな彼女がある日会話の中でポツリとつぶやいた。

「私、元は会社員で転職して弁護士になったんですよ」 という言葉が気になっていた。彼女は、

「下りのエスカレーターを一気に駆け上がった」というのだ。

 

下りのエスカレーターを一気に駆け上がるとは?

 

仙台の大学を卒業後、東京でシステム会社の法務部に勤務していた堀西さんは、もっと専門知識的なことが勉強したい、自分にしかできない仕事がしたいと思うようになる。

「名古屋の親元に戻りたかったこともありますが、会社を辞めた直接の理由は、組織の中にいるのが苦手だったんです。まだ若くて生意気だったものですから、自分は組織の中の一人より一匹狼の方が向いているとも思ったんです」

 

会社を辞め名古屋に帰った堀西さんはご両親に弁護士になることを宣言する。

24歳だった。

「母は驚いてでんぐり返しをしましたが、父も母も反対はしなかったです」

娘がやりたいことを応援する。子供の頃からそんな両親だった。

 

まずはどんな勉強をすればよいかを下調べをするために、司法試験の予備校の資料を取り寄せた。そこには司法試験の勉強は「下りのエスカレーターを上るようなもの」と書かれていた。

 

下りのエスカレーターを想像していただきたい。下に動いているエスカレーターを逆に上るには、絶えず足を動かしていなければならない。足を止めればすぐに下まで降りてしまう。

 

だらだら勉強していても合格はできない。下りのエスカレーターは一気に駆け上がらなければ!

堀西さんは合格までの期限を3年と決めた。

 

実家で居候をしながら司法試験の予備校に通った。

大学は法学部だったが、それほど必死で勉強をしてきたわけではない。まずは基礎知識を徹底的に頭に叩きこんだ。テストを受けては新たな知識を叩き込む。その繰り返しだった。

 

もし司法試験に落ちたらと考えたことはなかったのか?

――考えましたよ。会社は辞めていたので無職の自分には、もう戻る場所はない。追い込む気持ちがあったからこそ頑張ることができたと思います。

 

「今日はやる気が起こらない」「いまいち気分が乗らない」そんな言い訳は、

真剣勝負に通用しないのだ。

期限は一年伸びたが、4回目にして司法試験合格! 平成12年4月弁護士登録

 

朗報は誰に最初に知らせたか?

――両親と妹です。家族の支えや応援があったからこそ合格できました。

 

会社員から弁護士へと見事転身を遂げた堀西さん。司法研修所では、転職組も少人数ながらいた。客室乗務員をやっていた女性や「この間まで新宿駅で切符を切っていました」という電車の車掌さんもいたそうだ。

大卒後すぐに司法試験に合格をして華やいでいる20代前半の人たちとは対照的に、転職組は静かに今までの苦労を噛みしめているようだった。堀西さんもこれからのことを考えると身の引き締まる思いがしたという。

「車掌をやっていた方は今は検事をやっています」転職組の活躍を耳にすると自分への励みにもなるそうだ。

 

子供時代は何に興味があったのか?

――読書が大好きで幼少期は近所の本屋に3歳用のアニメのディズニーの本が入ってくるたびに買ってもらいました。全巻読みました。小学生になると3,4年生の時ですけど、源氏物語にハマりました。おマセだったんですよ。でも本質的な意味は全く分かっていなくて、恋愛という要素よりも平安の雅やかな絵巻の世界に憧れました。

源氏物語から古典へ、歴史小説へと読書の幅を広げ、今も読書は大好きだという。

 

堀西さんは既婚で一児の母でもある。

取材時、小学生の息子さんはサマーキャンプに行っていた。「親バカですけど」と言いながら、毎日見ているというキャンプ場の様子をパソコン画面で嬉しそうに見せてくれた。

 

子育てと仕事の両立で困ったことは?

――働くお母さんはどなたも同じだと思いますが、子供の病気ですね。子供が健康で毎日元気で学校に行ってくれることをいつも願っています。

 

お子さんの食事はどうしている?

――できる限り毎日作っています。

 

参観日は?

――出席しています。

 

息子さんは弁護士という職業をどう受け止めているか?

――テレビを見ていて弁護士がでてくると、「ママと同じお仕事だ!」と言いますが、他のお仕事と同じように捉えています。

 

 

落ち込んだときや悲しいときにはどのように気分転換を? 

――そういうときは寝てしまいますが、落ち込んだことってないですね。職業的にも感情移入しすぎると、客観的視点を失いますので、いろんなことを深刻にならないように受け止めています。

 

今までの人生の中で出会った一番心に残る思い出の曲は?

――「バッハのG線上のアリア」

言った途端、堀西さんは涙ぐんだ。

「ごめんなさい。どうしてもその曲を思い出すと涙が止まらなくなって」

 

10年前、父が入院をしていた病室に毎晩見舞いにいったときに面会時間の終了を告げる曲がこれだったという。堀西さんの涙がとまらなくなってしまった。

 

しばらくして、もう一曲「シューベルトのアベマリア」

今度は笑顔が返ってきた。

「結婚式のときに何もプランニングしていなかったのに、チャペルに入場するときに式場の方が用意してプロの歌手の人が歌ってくださった曲なんです」

 

長身の堀西さんより更に背の高いご主人はこの曲の流れる中、永遠の愛を誓ったのだ。

 

 

 

 

 

最後に堀西弁護士とのエピソード

 

今年の春、二人で電車で遠出をした。その時の電車の中での会話だ。

 

「完成した小説があるの。登場人物が犯罪を犯し裁判で裁かれるのだけど、架空の事件だからどんな判決が下されるかわからなくて困っているの」

「刑罰を判断すればいいんですか?」

 

小説を全部読まないと犯罪の内容がわからない。出版もされていない500枚近い生原稿に目を通してもらうことなど無理だと思った。

 

「原稿、送ってください。その代わり面白くなければ小説は読みませんけど」

 

原稿は送った。一週間も経たないうちに携帯にメールが届いた。

「読み始めました。面白いですよ」

子供の頃から本好きで、お世辞は言わないという堀西さんからのコメントに私はどれだけ舞い上がったことか。

 

さらに数日後

「被告○○の刑罰について」という報告書が届いた。

仕事は早い。作品の致命的なミスを発見してもらい、書き直すことができた。

 

「弁護士ってこんな仕事もしてもらえるの?」

「法律相談もしているくらいですから、法律絡みのことだったら何でも聞いてください」

と頼もしい答えが返ってきた。

 

 

頑張る人を応援する!

堀西経営法律事務所 取り扱い業務は企業法務(契約審査、労務問題、事業の継承、株式譲渡、独占禁止法、下請法)、交通事故、離婚、相続など。

 

堀西良美さんプロフィール

愛知県出身 東北大学法学部出身

愛知県弁護士会 日弁連交通事故相談センター愛知県支部委員 名古屋市建築紛争調停委員会委員

趣味は読書、観劇、クラッシク音楽鑑賞

<Sairuma!(さいるま)とは>
日々の生活を彩る+末永くお届けできるようにとの願いと覚悟を込めて「彩る+ル・マン/24時間耐久レース」から「Sairuma!」と命名しました。