佐枝節炸裂! 

 噂の「サイっち本」 

このコーナーでは、佐枝せつこがジャンルにとらわれず、人生に再スイッチ

が入りそうな本をご紹介していきます。                   

この世の欺瞞(ぎまん)
「心意気」を忘れた日本人
金美齢 著、長谷川三千子著/PHP研究所

若く見られて悪い気はしない。出かけるときは若く見える服を選んだり、若く見える髪型にしてみたり、アンチエイジングと唄ってあれば、どんな広告にも一応目は通す。
「それが女の心意気心というものよ」と、胸を張っていたのだが本書を読んで心がぐらついた。

第一章から「アンチエイジングなんてキレイゴト。欺瞞めいているから大嫌い」と金美齢氏がピシャリ。「人間にとって一番公平なのは、誰もが毎年一歳ずつ年をとるってこと。なんでそれに抵抗しなければならないの」と。

それを受けて長谷川三千子氏が「私だってアンチエイジングは大嫌い」。美容食品の広告に載っていた実年齢より若々しくて綺麗な女性のお顔より、同じ広告に実名で堂々と掲載されているシワシワお顔に感動したとおっしゃる。「こんなシワの顔でも役にたつなら使ってちょうだい」とあるがままの写真を提供した女性にはおおらかな人柄が感じ取れると。

欺瞞とはあざむくこと。だますこと。アンチエイジングは世間を欺くための姑息な手段である。皺のある笑顔に潜む自信と誇りを堂々と見せることこそ、女の中の女の心意気のようだ。

帯に「さすが、女傑二人! ぼくもここまでよう言わんわ」と百田尚樹氏の言葉がある通り、本書は日本を愛する女性文化人お二人の本音トーク炸裂の対談本である。

「希望」なんて自分で見つけなさい
なんでもかんでもセクハラ パワハラと叫ぶんじゃないの
「ミスマッチ」ではなくて「わがまま」なだけ
「何事も謝ったほうが簡単」は負け犬の発想
おひとりさまを最後にお世話するのは誰?
子供を産める人の意識を変えるのは大人のミッション、など…。


耳が痛い言葉も多々あるが、その一方でよくぞここまで言って下さったと胸がすく思いがした。

今の世の中、本音を言えば叩かれる。弱者を守ることを建前に「言ってはいけない発言」が多くなりすぎて、「言ってもよいこと」や「言わなければならないこと」まで、「言ってはいけない発言」になってしまった。

政治の問題もメディアが作り上げるマイナスイメージに踊らされ、政府が悪いというときだけ国民は声を大にする。メディアが作り上げた悪者にはバッシングの嵐が巻き起こり、普段は無口な人まで他人を批判するときにはやたらと饒舌になる。

「何かを叩いていないと自分の存在価値を見いだせないのではないかしら」長谷川氏。
「メディアにすぐに影響をされるんじゃなくて、一人一人がもっとものを考えて欲しいわね」と金氏。

大切なのは、まずは自分が主体的に考えて動くこと。欺瞞だらけの世の中に不満ばかり言っていないで、自分に何ができるかを考える。待っていないで自分から行動をする。本書は、そんな心意気を持ちたいと思わせてくれる大人のための痛快本だ。

(佐枝せつこ)

<Sairuma!(さいるま)とは>
日々の生活を彩る+末永くお届けできるようにとの願いと覚悟を込めて「彩る+ル・マン/24時間耐久レース」から「Sairuma!」と命名しました。