輝いているあの人に聞く目からウロコのストーリー

佐枝せつこの「ゲストルーム」

定年後もヒーロー。
飽くなき挑戦を続ける資格王

第12回のゲスト齋藤隆雄さん

日本人の平均寿命は男性が80.98年、女性が87.14年と男女とも過去最高を更新している。(厚生労働省の平成28年簡易生命表より)人生は益々長くなる。定年後の生き方に悩む男性たちのため息も聞こえそうだが、前職中から定年後も、あらゆるジャンルの資格取得に挑戦し続けている男性がいる。その名は齋藤隆雄さん。年齢70歳。前職は消防職員。

 

まずは齋藤さんが現在所有している資格と取得時の年齢を披露していただく。

 

移動手段に関わる資格(取得時の年齢)

・自動車運転免許

 [大型・大型自動二輪]
 (バイク16歳・大型24歳)

・小型船舶操縦士免許

 [1級・特殊・特定] (25歳)

・三級自動車 ジーゼル・エンジン整備士(37歳)

 

防災・消防・安全等に関わる資格

・消防設備士
 [乙種第1類] (29歳)

・消防設備点検資格者
 [第1種・第2種] (26歳)

・防火対象物点検資格者(60歳)

・危険物取扱者
 [乙種第1類~第6類] (23歳)

・高圧ガス製造保安責任者(29歳)

・救急隊員資格認定証(31歳)

・応急手当指導員
​ [救急法の指導者] (52歳)

・潜水士(29歳)

・衛生管理者[第1種] (33歳)

・防火管理者(25歳)

・防災管理者(60歳)

・特許証
 [安否確認システムの発明・消防用無線通信回路の発明に係る特許] (40歳)

 

興味(スキルアップしたい衝動)から取得

・高等学校教諭免許
​ [地理歴史・公民・商業] (25歳)

・中学校教諭免許[社会・職業] (25歳)

・行政書士(34歳)

・狩猟免許[わな猟] (66歳)

・実用英語検定[2級] (20歳)

・柔道初段(40歳)

・スポーツ指導員
​ [体力づくり体操] (30歳)

・レクリエーション指導者(27歳)

 

自らを見つめるために取得

・浄土真宗本願寺派教師
 [京都・「西本願寺」の僧侶の資格]

 (60歳)

人生で最初に取得した資格はバイク!

中学生の頃からバイクに乗りたくて、高校1年になってすぐに「第1種原動機付自転車(排気量50ccのバイクの運転免許)を取得しました。勉強して資格を取得できとことはとても嬉しかったです。その後、すぐにもっと大きいバイクに乗りたくて「軽自動車免許」をとりました。この免許証は、時代を経て何度かの法改正があり、自動的にグレードアップとなり、今はどんなに大きな二輪車も運転できる「限定解除」という貴重な免許です。これで学んだことは、「資格はできるだけ早い時期にとるべし。時代は進展し高度化、拡大化することにより既得の資格が貴重な免許になる」ということです。

 

珍しい資格。
僧侶の資格取得の経緯とは?

平成12年、私が52歳の時です。NHK人間講座「釈迦と女とこの世の苦」(瀬戸内寂聴さんの12回の講義)を拝聴しました。寂聴さんは、得度をされて何度もインドを訪れ、釈尊の生涯と仏教に救いを求めた女性たちの深い悲しみと、この世の苦との関係について思いを述べておられました。とても新鮮なので、テキストを買い求め全12回を勉強し、何気なく最終頁を見ました。ここに、出会いがありました。「西本願寺の通信教育生募集」中央仏教学院通信教育部(京都)の紹介頁でした。僧侶をめざす「専修課程」、学びを目的とする「学習課程」、基本的な学びを目的とする「入門課程」があること。「今始まる新たな一歩です」とありました。

「仏教のことを知らずに52歳でいる私・・・。西本願寺は私の家の宗派と同じだ。勉強してみよう。どうせなら、とことんやってみよう」との動機で応募をしました。

実際に仏門に入学してみると……

頭で考えていたことと実際は大違いでした。
内容はかなりハードで、日本国中に自主的な学習会が催されていることなど、意気込みだけでついていける世界ではないことを実感しました。そこで、学習会に仲間入りをして、仲間と親しくなり、色々な科目を学び試験を受けてどうにか卒業できました。

ところが、ここからが試練の始まりだったのです。僧侶になるには、教団の「得度課程」を修了し僧侶になり、法要や儀式を仕切ることが出来る教師になるための「教師課程」を修了することが課せられていました。

当然、この路線を歩むことになりました。諸先輩から色々と指導をして頂き、平成19年、60歳でやっと山梨県甲州市・勝沼のお寺の衆徒(所属寺の僧侶)となりました。私の諸先輩はかなりの頻度で法務を積んでおられますが、当方は別の仕事と勉強(大学生・通信教育)がありますので、年4回程度の法要(彼岸会・盂蘭盆会など)に出勤しているのが現状です。たまに、住職から「やりくりがつかないので、納骨に出てくれないか」と頼まれるくらいです。私は本当のところ、実務より教えを学ぶ分野(教学)の方が好きなので読書や聴聞による勉強をしている今日この頃です。

 

僧侶になる前と後では心に変容はあったでしょうか?

私は、平素から物事が自分の思い通りに進まないと、スッキリせず落ち込むタイプでした。学びが進むにつれて、「仏教の教えは『苦悩の解決』である」ということを知りました。苦悩は煩悩(貪り・怒り・無知)がなせるもので、これをなくすことが仏の教えでありました。しかし、煩悩というものは、あとからあとから止めどもなく湧き出てきます。自分では断ち切ることができないものであることも知りました。ここに我が宗派の特徴である「煩悩まみれの、衆生すべてを仏がすくってくださるので、ただ、ご恩に感謝する『ご恩報謝』の日々を送っていくこと」が根本にあります。人間は頭で理解しても心の底から「分かった」と言えないものです。本音では強情な私が、今ここにいることは事実です。困ったものです(苦笑)

資格で役に立っていることはありますか?

スポーツ指導員、レクリエーション指導者の関連で、役所から「地域の活性化に尽力を」と依頼を受けてお手伝いをしてきました。今は、某会社の顧問を頼まれお役にたっているかと思います。

 

資格を取得することの楽しみについて

資格を取得するには、一般的には学習をして試験が伴います。勉強が実を結び、知らないことが分かり、合格証を手にするという達成感を味わえること。これは、生涯の楽しみではないでしょうか。
 

資格取得により様々な分野に精通し、豊富な知識がある齋藤さんはご家庭ではどのような存在ですか?

率直に申し上げます。

「父さんは知ったかぶりの傾向にある。気をつけなさい」「それにしてもよくやるよね」

半ば呆れられているのかもしれません。

時おり、家族で分からないことがあると質問をされますが、「待ってました!」とばかり、図書や資料を集めて心底教えてあげます。家庭では困った人物かもしれません。

 

困った人などと自らを卑下されるが、齋藤さんはどんな人に対しても親切で優しく謙虚な態度を崩さない方だ。どんな分野のお話を振っても懇切丁寧に分かりやすく教えてくださるので、男女を問わずご友人たちからもとても頼りにされている。きっとご家族にとっても、知識の宝庫の齋藤さんは誰よりも頼りになる、家庭内のヒーローに違いない。

 

齋藤さんから定年後の皆さまへ

人生を振り返ると「あれがやりたかった」「あれを勉強しておけば良かった」と思ったことが蘇ってくることがあろうかと思います。それをそのままにしないでチャレンジしてみてはいかがですか。

私は、好奇心が旺盛というか欲深というか、絶えず調べたり、見に行ったりすることが好きな性質なんです。今は、数学の勉強が足りなかったことを後悔していまして、数学検定へのチャレンジなど、一から学び直そうとしてます。

次は数学……。飽くなき探究心と挑戦力が齋藤さんを輝かせている原動力になっているようだ。

定年を見越して着々と準備をしている方もおられるが、現職中は仕事に全力投球して、その後の人生は自分自身のスキルアップに費やす。これぞ自身の人生を完うさせる最高の生き方といえるのかもしれない。定年後もヒーロー。今後も齋藤さんの資格が増え続けることを応援しています!

齋藤隆雄プロフィール

昭和22年11月2日生まれ

前職 横浜市消防局 消防職員 勤続37年間に消防署などにて様々な活動に従事する。家族は妻と長女、長男と孫6人

<Sairuma!(さいるま)とは>
日々の生活を彩る+末永くお届けできるようにとの願いと覚悟を込めて「彩る+ル・マン/24時間耐久レース」から「Sairuma!」と命名しました。