川野ヒロミのクリエイターの箱 

第11回
 猫が集まる街の絵「ねこまち3丁目」が好評!

表現者 YURICOさん

Web制作と職業訓練講師のお仕事をされているYURICOさん。主婦であり、母であり、そして、もう1つの顔が「表現者」。今、描いている絵のこと、描きはじめたきっかけや仕事と絵の両立、また、将来の夢などについてお聞きしました。

どのような絵を描いているのでしょうか?

 

「特定のジャンルを決めず、その時の流れで具象とも抽象ともつかない様々な絵を描いています。今、力を入れているのは、猫が集まってくる街をモノクロで描いた『ねこまち3丁目』シリーズと、日本画の描き方を活かした作品制作です」

 

小さいながらも存在感のある『ねこまち3丁目』シリーズは、「月夜と猫のラプソディ」という絵本から生まれたといいます。

 

<「月夜と猫のラプソディ」と「ねこまち3丁目」>

 

「猫の絵や立体を作る作家さんと2人展をさせていただいたとき、Facebookで展示を見た方が『絵本を描きませんか?』と声をかけてくれました。その方は、演奏家『デュオ ルクレール』の新曲に合わせる絵本作家を探していたのです。猫の引き寄せる力はすごいですね。その後、『デュオ ルクレール』のできたばかりの音源を預かり、『月夜と猫のラプソディ』という絵本を描きあげました」

 

「『月夜と猫のラプソディ』に登場するのが『どこからともなく猫が集まってくる街』で、その街に集まる『どこからともなくやってくる脇役の猫たち』を描いたのが『ねこまち3丁目』です。

 

「ねこまち3丁目」を描くあたり、YURICOさんは、この街に来る猫たちは脇役なのでカラーではなくモノトーンで、モノトーンの作品にするなら画材はペンで、ペンで描くならスベスベとした下地がいいだろう…と描き方のコンセプトを決めていきました。

 

「手元にあったミニキャンバスに、モデリングペーストを何層も重ね塗りしてカチカチの下地を作り、ペンがよく滑るように綺麗に磨いて…。さらに、ペンで描いた線が消えないようにとニスを塗り、出来上がったらタイルのような作品になっていました(笑)」

 

「そんな『ねこまち3丁目』は、タワーがあったり灯台があったり城があったりと、単調にならないように街並みを描いてたくさんの猫たちを散りばめています。山があっても海があっても『3丁目』。シリーズとして広がっていく街並みを展示会でご覧いただけると嬉しいです」

<日本画の描き方を活かした作品>

YURICOさんの作品「Otogi City」も魅力的な作品です。この作品では、日本画の絵の具や描き方が使われています。

 

「『Otogi City』は『おとぎのモチーフ展』という展示会にに出展した作品に加筆して仕上げた作品です。おとぎ話の舞台になるような街が描けると良いなぁと、ドイツの街並みを参考に描きました。画材は日本画で使用する絵の具で、箔や胡粉、雲母などで下地を作り、建物を水彩色鉛筆で描き、仕上げに岩絵の具等で着色していきます。日本画の画材の質感、箔の色合いなど、日本画の画材を使って絵を描くのはとても愉しいです」

<絵を描くことと家族の反応>

YURICOさんが、本格的に絵を描こうと思ったのは、今から10数年前。当時、3人のお子さんたちは小学生で、Web制作を在宅(自営)で始めたばかりの頃でした。こうした状況であれば、新たなことへの挑戦は躊躇する人の方が多いかも…。なぜ、この時期に描きはじめたのですか?

 

「仕事柄『デザイン』というものを深く知りたいと考えていた頃、武蔵野美術大学に通信教育課程が開設され、迷わず入学しました。また、同時期に美術系のイベントでデッサンをする機会があり、もっと描きたい、うまく描いてみたい欲求も最高潮に達して、個展のプロデュースをしている友人の助けを借りて作品展を開きました」

 

最初の個展でお世話になった友人がつけてくれたのが、アーティスト名のYURICO。最初の画材(パステル)も、その方が決めてくれたとのこと。なぜパステルを?

 

「パステルという画材は、時間の無い中で絵を描くにはもってこいの画材です。準備も片付けも簡単で、描いて、指でこすって、水も要らないし、かさばらない。描き始めた頃はちょうど自営でWebの仕事を始めたばかりで、家事も子育てもやりながらの慌ただしい毎日にパステルはぴったりでした」

 

「夜空いた時間に『どうしても何か描きたい!』という欲求に任せて、ササッとイラストボードとパステルを出してきて、短時間で描くというのを日々繰り返していました。当時は在宅で仕事をしていたので、母が何かに集中している姿は子どもたちも見慣れていて、描くことも自然に受け入れてくれたようです」

 

<描き続けること>

その後、本業であるWeb制作の忙しさは増していったそう…。仕事と描くことの両立はどのようにしていったのでしょうか?

 

「描けないときには無理をせず、でも『年に一度はどこかに作品を飾ってもらう(出展する)』ことを『自分の中での約束』にしていました。ただ、描き始めて10年が経った時、気づいたら仕事に追われて作品数がたいしてないことに愕然としました」

 

ここが転機となり、YURICOさんは、描く姿勢を「無理なく」から「両立」へと改めることに。
 

「次の10年は、後悔しないようにもっと描きたい」と描く姿勢を変えました。その頃から主に休日は絵を描くための時間に充てるようになりました。『忙しいなら描かなくてもいい』ではなく『両立ができるはず』と考えるようになりました」

 

「今も絵の勉強を続けています。日本画の教室で日本画の画材の使い方を学んだり、画塾で技法を学ばせていただいています。今は、私がこの世を去ってから『おばあちゃんは、あんまり上手くはなかったけど絵を描くのが好きだったね』と話のネタになる絵を描くことが、制作の原動力になっています」

 

今後や将来描いてみたいものや実現させたい夢は?
 

「抽象画に興味があります。現在師事している日本画の先生は抽象画を描かれる方で、数年前から教えていただいていますが、このところ、改めて抽象画をもう少し極めていきたいと思うようになりました。目指すは抽象画での個展です」

ますますのご活躍をお祈りしています。

お忙しい中、ありがとうございました。

■8月以降の展示会参加予定

ねこまち3丁目の展示が続きます。

●2016年8月26日~9月11日

gallery 来舎~kiya ”梅猫庵”「猫おひろめ展」

■『月夜と猫のラプソディ』
デュオ ルクレールの音楽とYURICOさんの絵が出会って、生まれたオリジナル作品『月夜と猫のラプソディ』の2歳のお誕生日おめでとうコンサート!が開催されます。
会場:「六本木シンフォニーサロン」
日時: 2016年9月17日(土)15:00開演(14:40会場)

詳細はコチラ↓

『デュオ ルクレール事務所』http://sound.jp/leclair/

<Sairuma!(さいるま)とは>
日々の生活を彩る+末永くお届けできるようにとの願いと覚悟を込めて「彩る+ル・マン/24時間耐久レース」から「Sairuma!」と命名しました。